樟の森の研究室

斐伊川が久野川や三刀屋川と合流する地点、木次線がことことと走る線路のすぐそばに住まいし、ここで生きる術と学びを記していきます。

環境と民俗と

野山と山あがり雑感

コモンズというものの向かうべき方向について、70年ほど前を振り返ることの大切さを思い知る。 「森林整備、地方へ数百億円 新税に先行、19年度から」https://t.co/9oBIHVt82なる新聞記事を見ながら鬱々とする気を払いのけるために、まとまらない断片を記…

来年はシホウチク(カンチク)を食べるのだ〜出雲国産物帳にみる竹類

10月のよく晴れたとある日、仕事でよく通る道路脇で筍をみた。観光客の来訪も多く、草刈りもていねいにされているところである。再生竹かなと最初は思ったのだが、いやまてまて、しっかり皮をつけていてあきらかに筍だ。温帯地域で秋に出る筍なんて相当限ら…

晩秋山野渉猟

11月14日、旧暦9月26日。朝のうち雨が降ったものの次第に晴れ。午後からは快晴となった。懸案をひとつずつ片付けるべく方々へ。 ◉寺田の滝とかめんがら この奥に寺田の滝がある。手前の平地はダム建設の残土であり、かつての面影とはずいぶん異なるものだろ…

タネは生きているのか死んでいるのか

焼畑に挑みはじめてからというもの、タネというものが、さまざまな相貌で立ち現れては、私に問いを投げかけてくる。秋から冬に向かういまの季節に、人はタネをとり、草木は大地にそれを落とし、あるいは飛ばし、哺乳類が口をつけ、実とともに鳥たちがついば…

カブと小麦

11月2日。裏の畑に、8日ばかり前であったろうか、ひとうねぶんほど蒔いた小麦が、小さな芽を出し始めている。昨秋40粒ほどからふやしたスペルト小麦。どうするどうなるなんて考えず、まずは育ててみたい、その姿を見てみたいと思う一心だったのが1年前だとす…

ススキとセイタカアワダチソウとカメンガラ

本日快晴。 種々の備忘を記す。 ◉木次から阿井へ向かう途上 ・ダムの見える牧場の春焼地で学生らがサツマイモを収穫中。土曜日に続きだったのかどうか。 ・セイタカアワダチソウとススキの勢力逆転地を通過 昨年からちょくちょく見ている地点。今年は昨年よ…

怒る大人、叱られる子供、やってはいけない事

友達の家で、囲炉裏をひょいとまたいだら、その瞬間足を払われて鉄拳をもらった。コラとも、何が悪いとも、一言もない、大人は怒っていた。 いま60代(とおぼしき)男性が幼少の頃の記憶を語った言葉である。 何をしたら怒られたのか。 そんなことも、次々…

ハンザケの産卵シーズンとなり

オオサンショウウオ。ハンザキ、ハンザケと呼ばれる両生類は出雲地方山間部ではなじみ深い生物である。3000年前から姿を変えることなく生存している”生きた化石”であり、日本固有種でもある。生きた化石とされるのも、シーボルトが日本からヨーロッパに…

七夕と焼畑儀礼と

去る8月6日の火入れの際、学生が七夕飾りを山に持ち込んで、火入れの竹山に加えていた。ほほぅと感心したものだ。いまや竹に願い事をしたためた短冊をゆわえ、祭りののちに川に流すということは”禁止”されていると聞く。祭りの後で、大人たちはこっそりそれ…

星の名前と民俗と

wikiで野尻抱影をひくと、天文民俗学者とある。天文民俗学、はて、初めて聞く言葉だ。JKの全文横断検索でかけてもヒットはしない。googleではいくつかのサイトが出てくるので、ある種の造語であろう。 星の伝承研究室の北尾浩一氏が、2006年に『天文民俗学序…

裏庭の片隅でトノサマガエルとばったり

気温が34℃をさすような猛暑日が続いています。雨が降らないので、庭の木々がそろそろバテ気味な印象。そんななか、外流しがつまり水がたまっていたので、やれやれ掃除しますかとかがんでみたら、小さなトノサマガエルとばったり。 国内では准絶滅危惧種に指…

忘れられた高津川のアユ~田中幾太郎『いのちの森 中国山地』#002

《今、高津川の流れには生命の輝きが見られない》 田中幾太郎さんがこう著されてから二十年あまりが経っている。私が高津川の傍に生活したのは、すでに輝きが失せた後からであり、「昔の高津川は〜」という言葉は誰もが語るセリフであった。が仕方のないこと…

ツキノワグマが島根から消えるとき〜田中幾太郎『いのちの森 西中国山地』#001

「あの爺さんらも、もうおらんようになった」 田中幾太郎さんがそうつぶやいたときに感じた、いいようのない戦慄の正体に、もうすこし近づいてみたく、著書を再読することとした。『いのちの森 西中国山地』は平成7年に光陽出版社よりおそらく自費出版された…

コンクリート護岸で失われていくもの

ランドスケープデザイナー・廣瀬俊介の『風景資本論』を読んでいる。2011年(平成23年)の11月、すなわち3.11の年に刊行されたものだ。3〜5年ほど前に書店で手に取って贖ったような気がする。大阪だったか東京であったか。そしてしばらくは、カフェ・オリ…

西志和の焼土の風景

宮本常一著作集21「庶民の発見」を借りてきて読んでいる。じつは24巻の「食生活雑考」を借りるつもりが間違えたのだ。図書館に地下書庫から出してもらい、中をみずに持ち帰ってしまった。しまったなあと思いながら読み進めると、しかし、これぞ僥倖であった…

今年はチョウの姿を見ない

5月に実をつけ、楽しみにとっていた庭のジューンベリー。昨年はヒヨドリと競争になり、けっこう負けていた。今年はそこにスズメも参戦してきたので、われら人間のとりぶんはずいぶんと減ったのだった。ヒヨドリは単独でやってきてぺろっとまるごと食べるの…

粗朶ってなあに?

粗朶(そだ)ってなあに? あれだよ、あれ。川の護岸に使ったり。弥生時代からみられるというから、そりゃ由緒あるもんだよ。簡単にいってしまえば、木の枝を編みまとめた束だね。 新潟県粗朶業協同組合・若月学のテキスト へー。木の枝なんて、今じゃゴミ扱…

土地の記憶、風景の記憶-001

正確さを期する、あるいはよけいなことを考えず誤解や混乱を避けるのであれば、「土地の記録、風景の記憶」と標すべきなのだろう。いたずらにそうしてみたという向きもなくはないのだが、確信とまではいえないまでも、こうすることで、なにかを発することが…

スリランカの"コンポストツリー"

国立アグリパークの中にあったコンポストです。が、展示用ではなくよって説明もなにもありません。これそのものをコンポストツリーと呼ぶ人と、おそらくここで使われている木の種類をコンポストツリーと称している人がいて、おそらくどちらも正しいのかもし…

チドメグサとよく似たものたち

チドメグサ、ツボクサを探しはじめた。 地方名がわかればそれもみておきたい。薬草として、ツボクサの利用がかつての山野にあったのかなかったのか。などなど。 昨日、そらやま団地の山にある一畑さんを確かめに行った際に、山の入口で見つけたのがこれ。 チ…

晩秋の日に奥出雲の気になる棚田の跡をみて

11月13日の日曜日のことを振り返りながら、つれづれなるままにつづるの巻。 季節の変わり目によくある気分と体調のすぐれなさは、秋の終わりの暖かな陽光を浴びることで、ずいぶんとやわらかくなったりもする。この日も曇り空の切れ間から時おり光が降りてく…

おいしい雑穀づくりと小屋づくりと山畑の手入れetc.~10月24日

作業日報です。 10月24日(月)。三所の古民家で作業。トーミを本格使用し「成功」。 参加者1名+軽トラ1台。曇り時々雨。気温18℃(12時)。 ◉経過10時40分~11時00分 ダムの見える牧場のカブ地を路上から確認。牛柵の倒壊などなし。ブラウンスイスの新入…

ススキとセイタカアワダチソウの棲み分け?

ススキが群落形成するころとセイタカアワダチソウのそれとは重なるようだ。後者はひところ盛んに目の敵にされていたが、最近ちょっとおとなしい気もする。見慣れたせいだろうか。建設残土を入れたところなどには相変わらず強い生命力ではびこっているようだ…

第13回日本オオサンショウウオの会邑南大会

全国から(邑南町をのぞく県内参加者はおそらく10人未満)約150名が集まった”第13回日本オオサンショウウオの会邑南大会”のレポートは今週末に〜。 10月2日の昼間の部のみ参加して奥出雲町布勢・八代川のオオサンショウウオのことも片隅でアピールしてきまし…

牛の山登りと竹林の役割

アワとヒエの収穫のために山に向かう日が続いた。毎日数時間。放置し過ぎた焼畑地ゆえ草刈りが半分以上の労力と時間を占める。火入れしなかった防火帯が通り道となるのだが、藪に近づきつつあって、かき分けるのと刈るのとで半日を要したほど。その時の勢い…

竹林景観ネットワーク

昨日は竹林景観ネットワークの研究集会が島根県飯南町の中山間地域研究センターで開催されました。(本日はエクスカーションです)レポートは追って! 樹冠ネットワークの発表でも話題にあげられました、存続問題に揺れるJR三江線の「竹」駅です。 https://w…

失われた自然の再生とは

「失われた自然の再生とは何か」への回答として、さくらおろち事務局長時代にこたえたものがある。こういうものだ。 ここにいう「自然の再生」とは、平成15年施行の自然再生推進法に基づき政府が決定した「自然再生基本方針」、ならびに平成24年に閣議決定さ…

日の出団扇を竹紙で

今年の竹紙づくりはちょいと青色吐息。今年の漬け込みはなしにしよう。なんといっても場所の確保が難しい。樽の置き場所が。まだ漬けこんだままのものも乾燥させて取り込まねばならぬし、漉き枠をつくることと、竹意外の植物を試すなどをしてみよう、そのぶ…

今日の雑読断片

昨日、6月16日のことであるが、書きとどめておくべきことして。 【ダイコン】 魚谷常吉 (著)・平野 雅章 (編)『味覚法楽』 (2003;中公文庫) ダイコンは日本人の食物として最も広く、かつ多く用いられ、常にその恩恵に預かっているのにもかかわらず、恩に慣…

その水はどこからくるのか

蛇口をひねれば水が出る。ありがたいことだ。感謝の気持ちを忘れようが粗末にしようがそのことの価値は変わらない。水を汲むという大仕事にかかわる時間をほかのことに振り向けることで、いまのわたしたちは、生と社会を営んでいるのだから。 だが、どうだろ…