樟の森の研究室

斐伊川が久野川や三刀屋川と合流する地点、木次線がことことと走る線路のすぐそばに住まいし、ここで生きる術と学びを記していきます。

食べること

令和2年、ホウコ雑記

冷蔵庫の片隅に冷凍したままのホウコが眠っている。たしか2年前のものだと思う。搗く機会を頭のなかであれこれと浮かべながら、いくつかの記録を整理しておきたい。 思いつくままの箇条書きをまず。1. 阿井の山野で食べたものの中でのホウコ2. ホウコの方言…

熊子の古を拾いつつ#地方史誌其の一

熊子(くまご)と、出雲地方で呼ばれてきたアワのことについて、いまだ調べること多いものの、まとめていこうと思う。記録の散逸、記憶の錯誤をおそれる。できるところから少しずつ書き足していく方式をとろうと思う。 あわせて、聞き取りを再開したい。その…

奥出雲における「わに」の刺身について

それは先週、8月8日のことでした。立ち寄った隣町奥出雲町のスーパーで、目的の品をかごに入れ、そそくさとレジに向かう途中、どどんとばかりに「わに」肉が陳列されているのを見つけてしまったのです。刺身用の新鮮なものです。「わに」ことサメの刺身は、…

スペルト小麦と夏野菜のマリネ

カフェ・オリゼの裏にある「オリゼ畑」で育てているスペルト小麦。夏野菜のマリネとしてランチにお出ししています。玄麦。スペルト小麦は、古来つくりつづけている地域では粒で食することが多いという論説をみたことがあります。そうでなくても、粒でとれる…

野老を見つけた日に

おそらく鬼野老だと思う。一昨日やっと見つけた。探しているときには見つからず、忘れた頃に、こんなところにあったのかと驚くのはいつものこと。そして、7月下旬の今頃が目立つということでもあろう。花をつけるのもこれからだ。トコロを食べる会として、蔓…

一月四日、そういえば稗を食べていない

日がな一日、読んだり、整理したり、用意したり。 棚のファイルを整理するまでもなく、立直す程度に整えた際、大庭良美『家郷七十年』の複写ファイルが出てきた。ほんの十数ページぶんほどではある。用向きとしては食生活の項を中心に記録を集めていたときの…

令和元年、年取りのタカキビ餅とタカキビと

昨年同様の塩梅でタカキビ餅をついた。昨年のほうが美味しかったという印象を持っている。硬い粒が残っているのと風味がいまひとつ。主に3つの要因があると思う。 1. 昨年よりもしっかり熟したものを使っていること2. その割には水につける期間が短かったこ…

その昔、どんなヤキモチ、オヤキが食べられていたのか

どこかで読んだのだが思い出せない。「へえ〜。仁多にもあったのか。そりゃあっただろうけれど」という記憶のみ。そう、仁多に、かつてオヤキ=ヤキモチがあっても不思議でもなんでもない。全国どこでもそうだろう。しかし仁多では早くから米食の比率が高ま…

春、それは食える草の季節

”春は食える草の季節”――川上卓也の『貧乏真髄』にある至言である。 春は、食えない草を探すほうが難しいという理屈やらなにやらではない。「食える」ということの歓び。地面さえあれば町の道端にだって食える草があるのが春なのである。飽食の世となって久し…

焼畑の雑穀と玄米のご飯

”今日のオリゼランチは玄米と豆(ささげ、さくら豆、大豆)と雑穀(高黍、もちあわ)のごはんを炊いています。”と紹介いただいた。ありがたし。 ●豆について ささげは畑ささげとして分類される野生化したササゲで、山形のとある集落で焼畑栽培の最終年に近い…

ホウコ餅はやはり美味かった

ホウコ餅を昨年の春に搗いて食べている。が、その記録がまったく見当たらない。どこかにメモ程度でも残っていればと昨年の手帳を改めてもなし。今朝の雑煮に、冷凍庫にあったホウコ餅を食した。つくったのはいつだったろうか、ホウコはどれくらい入れたんだ…

年取りのタカキビ餅

タカキビ餅の仕込み~平成30年12月のその後。 タカキビは最終的に4合ほどを調製し、昨年のもの半合ほどを材料に。 うち今年のもの2合ほどはミキサーにかけてひき割りに。4分の3ほどが割れたと思う。粉状になったものは今回は使わず。半合弱ほどか。 よっ…

タカキビ餅の仕込み〜平成30年12月

我が家の年取り餅に使うタカキビの仕込みは夜なべ仕事。トーミで選別すれば早いのだが、いかんせん雨が続いて出番待ちする間にせっぱつまってしまったのだ。ゆえに夜なべ。昼に小さな土間の勝手で脱穀をはじめた。先ごろ手に入れた足踏み脱穀機でやってみた…

タカキビ餅のぜんざい

うまし。 タカキビ餅と名乗っているものの、原料の8割5分ほどは餅米である。若干のモチアワも含まれている。1割2分ほどだろうかタカキビの入っている割合は。されど、しっかりとタカキビらしい味わいというか野性味というか深みというかそんなものがある。 …

牛乳からバターをつくる

When was the last time you made your own butter? あなたが、最後に自分でバターをつくったのはいつのことですか? 大変興味深い台詞なのだ、これは。 ”バターづくり体験”は、日本でもありふれたものになりつつあって、子供あるいは親子で体験するものとし…

醤油の歴史雑考〜旧松江藩領・温泉村の安永十年(1781)

温泉村(現雲南市)の安永10年(1781)の検地に際して、村三役が役人を接待した記録の一部をみるに、「大根牛蒡など、醤油にて煮〆をつくりもてなしたる」とある。「醤油にて」つくる煮しめがもてなし料理であるなら、醤油をつかわない煮しめがあったという…

味噌をつくる前に~#2

味噌づくりの主役はカビである。 一口にカビといっても確か数万種におよぶ。広大な世界がミクロの次元にひらかれている。その膨大なカビ世界のなかのひとつの種類が、味噌をつくってくれる。名前もきちんとある。学名をアスペルギルス・オリゼという。Asperg…

味噌をつくる前に〜#1

今年は毎年味噌をつくっている妻を手伝って、…というより自分でもつくれるように見て聞いて手を動かしてみようと思い、少し考えたことを記してみる。 ●味噌をつくってみようと思うその心は ・山の畑で大豆をつくり、味噌をつくる……仲間が5人くらい集まるとい…

かち栗飯が美味しかった

1月8日は、カフェ・オリゼのお手伝い。木次チェリヴァホールで開催の演劇カーニバル&マルシェカーニバルへの出店をサポートしました。 そのマルシェでお隣だった金山要害山保存会が出しておられたのが、戦さ勝ち栗飯。 これが美味しかったのであります。 ま…

畑もちを搗く〜その2

12月28日。働きに出ている豆腐屋さんで年取りの畑もちを搗いた。 畑もちを搗く〜その1であれこれと思案したが、成り行きの末、以下のレシピとなった。 ◆材料 ・もち米1升……精白したものを購入 ・もちアワ0.5合……焼畑2016年産。精白後、水に浸すこと2日。 ・…

ホトホトと餅とダイシコの関係〜その2

年の瀬に畑もちを搗くことと、正月のもちを考えることは、並行している。 なぜ人は正月に餅を食べるのかということだ。 つい数日前に、ホトホトと餅とダイシコの関係といってみているものの、関係を説いてはいない。関係とはほどとおく連想のかけらみたいな…

畑もちを搗く〜その1

働きに出ているお豆腐やさんで、28日にモチをつく。仕事で使っている餅つき機を使って、みんなでそれぞれの家のぶんをつくのだが、私はせっかくなので、畑餅(畑でとれる雑穀のもち)をついてみようと思う。 畑もちという言葉を最初に目にしたのは、『聞き書…

雑穀の餅のつき方

農文協から刊行されている『聞き書き山口の食事』を購入した。これで中国地方五県ぶんが手元にそろったことになる。全国47都道府県のシリーズ「日本の食生活全集」の中の5冊ぶんである。残り42冊、全巻そろえてみたい誘惑にかられる。と同時に、日本は広いな…

石臼と鰹節削器

鰹節は削りたてがよい。ただ一般家庭でもっているところは少ない。鰹節削り器を使っての削りたての鰹節を味わう機会は、割烹料亭や蕎麦屋でのそれをのぞけばそうはないということだ。 コーヒーも挽き立てがよい。コーヒーミルは一般家庭にも鰹節削り器よりは…

料理の中の文化と野生〜『江戸の料理史』(本の話#0009)

告知案内文を書きました。原田信男『江戸の料理史』をとりあげてお話するトークライブです。 ◉内 容 「一日ニ玄米4合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ」と謳った宮沢賢治は、農民の生活を料理を通して芸術にまで高める夢を抱いていました。人が人である限り、食事…

エノコログサの食べ方〜その1

昨日、仕事打合せ後の茶飲み話。 「今度、江戸の料理について話をするんだけど、江戸時代、とりわけ享保・元禄以降だと想像が働くというかわかりやすいんだよ、現代食生活と地続き感がある」 「そうだね。蕎麦も鰹も寿司だってね」 「ところがだ。室町から前…

スリランカにおける混ぜる料理と多様性、そして焼畑

スリランカのカリー料理をつくっていく中でふと気がづいた。 あぁ、そういうことなのかと。 文にはなりにくい。 まとまりがつかず、何を書いているのか、わからなくなってしまうことをおそれる。 が、まずはあげてみよう、10カ条にて。おいおい整理すればよ…

もちあわりんごカスタードを売れるものに

4月30日にイベントでのテスト販売を行った「もちあわりんごカスタード」。100円としたのは、完成度の低さゆえ。ぷちプリン程度の量で200円はとらないといけないですね、ざっくりとでも。飲食店内であれば260円か。もちあわの特性として雑穀のなかでは癖が…

食事と心と学生の子供化と

みすず書房から中井久夫集全十一巻が出る。 斎藤環の毎日新聞書評をみて知った。 夜の12時を過ぎて学生から電話。 私はケースワーカーか。。。教授も苦言していた通り、大人の行為とはいえないが、知性ある、人間らしい行為である。社会学的側面に寄っていえ…

味噌と納豆を仕込む

3月13日(月)。曇り時々晴れ。カフェ・オリゼで味噌を仕込んだ日。 黒大豆の味噌づくりは、オリゼにとってははじめてです。頓原にある森の圃ここぺりでとれた赤名黒姫丸(固定種)ですが、お味噌にするにはもったいないほど粒がきれいでしっかりした大豆で…