樟の森の研究室

斐伊川が久野川や三刀屋川と合流する地点、木次線がことことと走る線路のすぐそばに住まいし、ここで生きる術と学びを記していきます。

村尾行一の焼畑論

村尾行一の『間違いだらけの日本林業』と『木材革命』。内容はほぼ同じ。後者が手元にあって前者は書庫(ラボ)においたままだった。しかるに、前者のほうには、かかる記載があることを教示され、斜め読みで放置していたことを猛省している。

 以下、まずは引用とメモ書きを記し、のちに加筆するものとして、おく。

 ひとつめは焼畑の「容易さ」について。

 p181

焼畑は何処でも誰でもやれるということだ。平坦地でもできなくはないが、より適地は傾斜地で、作業がしやすく防火上も安全で、農作物の収穫作業も傾斜地の方が楽だ。私が体験した最高傾斜は72度だが、あらゆる意味で最適傾斜は30度台、40度台である。

 意外なことに、焼畑は、飛び火・失火の危険性が少ない農法である。それどころか山林はなかなか火が着かないもので、焼畑火入れは消防団等消火態勢を整えておく必要のない、実に安全にして快適かつ痛快な作業である。上は小学三年生から下は幼稚園年少組まで男の子女の子の集団に、傾斜30度前後の山林で火入れから各種農作物の播種までやらせたところ、驚くほど見事にやり遂げた》

 宮崎の椎葉村では、小学生に焼畑を「実践」させている。そうなのだ。私が目指すところもそれである。あと4年後、すなわち2021年には、小学生の焼畑を実現させる。候補地を佐白周辺で少しずつあたってみたい。

 そして、この「容易」さは誤解されやすいものだ。

 村尾もあげているようにその一例が、火入れは明け方から日没までという多くの条例の規定である。元々は林野庁が定めていたものを各自治体が条例に落とし込むときにそのままとなっているのだろう。奥出雲町の火入れ条例もそうである。

 村尾がいうように、これは「間違い」だ。

 諸条件はあるが、飛び火・山林火災のリスクを重くみれば、夕暮れにはじめ、夜に終わるのがよい。山形の温海では夜に火入れしている映像を見たことがあるので、夜間の禁止規定がないところもいくつかあるのではないか。

焼畑文化・技術」の保全にとって、小学生の焼畑のような「教育」の面、条例の改正という「法規・規範」の面を欠くことはできない。

 そうしたことを可能にしていく土台として、「正しい焼畑の理解」へ向けて、経験、実証、調査を進めるべし。

 そして、もうひとつ。こちらはさらに重要。

p.182《私は、養分吸収器官中でも最も重要な細根ー吸収根ー菌根が肥沃な環境では全く発育しないことを知った》という村尾は、そこからこの文脈の中では飛躍した主張を次に掲げる。

 《農作物にとって、わけても菌根にとって好ましい環境を造成するのが焼畑なのである》

 《焼畑はやはり無肥料農業なのである》