樟の森の研究室

斐伊川が久野川や三刀屋川と合流する地点、木次線がことことと走る線路のすぐそばに住まいし、ここで生きる術と学びを記していきます。

アマランサスの発育状況と「神の穀物」の由縁と

◉アマランサスの発芽のこと

 今年は焼畑2作目として播種しているアマランサス。

 ざっと以下のことを考えている。

・吸肥力が高いその性質から2作目向きかもしれない→収穫量はどうか(単純比較はできないが)

・急斜面で日照不十分なところではどうか&昨年は9月の秋雨で倒伏がひどかった。

・赤穂を選抜したい→新しい種を取り寄せ(A地点)&赤穂から種取したものだけを播種(B地点)

 結局播種が遅れ、発芽もかんばしくなく、昨年より1ヶ月遅れの収穫かと思っていたら、意外においついてきている感はある。

▼昨年(2016年)7月9日時点のアマランサス

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▼今年(2017年)7月6日時点のアマランサス

A地点…急斜面・日照不十分/前年夏火入れ〜秋冬で蕎麦と蕪栽培/入手した赤穂を播種

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B地点…段丘地・日照良し/前年夏火入れ〜秋冬で蕪栽培/赤穂から種取したものを播種

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◉神の穀物と呼ばれる由縁(1)

 アマランサスの説明をする際に、インド・ネパールでは「神の穀物」と呼ばれていることを常套句のように使う。神事に供物として欠かせないものであることと、他の穀類が干魃で不作となってもアマランサスだけは稔りを約束してくれるからだと。しかし、乏しい知見に基いておるので、薄っぺらいなあと自分でもよく思う。せめて資料を再読し、あたるべき文献にもあたっておこうと思った次第。

 今回は(1)として。

 概要は、アマランサス・キヌア研究会のシンポジウムのレポートをみるのが早いと思います。それらの中でのべられる特徴としては以下の内容が代表的。

【アマランサス】

・学名アマランサス、ヒユ科、中米原産。

・主な栽培種は Amaranthus hypochondriacus(センニンコク)、 Amaranthus cruentus(スギモリゲイトウ)、 Amaranthus caudatus(ヒモゲイトウ)。

・主な栽培国は、アメリカ合衆国、メキシコ、ペルー、中国、インド、ネパール。日本国内では岩手県、長野県等。

・環境適応性が高く、熱帯、温帯、乾燥地帯での栽培が可能。(→悪条件下での栽培に可能性。未来の穀物として期待)

光合成能が高く、生長がはやいC4植物。

 播種から収穫までの期間が短い。品種による差異はあるが3〜5ケ月である。干魃に強い。種子の収量(1〜3トン/ヘクタール)は穀物の中では平均的。

・国内における栽培の課題は、倒伏しやすさ、種子サイズが小さい(直径約1.5mm、千粒重量約0.7g)ことによる脱穀選別の難しさなど。

・利用法は、米との混炊が一般的。ポップ菓子や、パン、ビスケット、麺、 食酢にも。

◉南峰夫・根本和洋の「ネパールにおけるセンニンコク類の栽培と変異」

 2003年に北海道大学図書刊行会より発行された『雑穀の自然史ーその起源と分化を求めて』に所収されている論文である。いくつかのポイントをひいておく。

《私たちは1982年以来、ネパールのほぼ全域においてセンニンコク類の調査と収集を行った

収集したセンニンコク類の種子サンプルは399系統である。センニンコクは347系統で大部分を占め、ヒモゲイトウは52系統である》

《センニンコク類の栽培は、乾燥した西側の灌漑設備がなく天水に頼る中山間地の僻地ほど多い。……(中略)……標高90mから3400mまでの幅広い標高に分布し、

1000m〜3000mのあいだに大部分のものが見られる》

《ヒモゲイトウのほとんどは1500m以上に分布し、1000m以下では収集されなかった。ヒモゲイトウがセンニンコクより乾燥と高温に弱い(西山,1997)ことを裏付けている》

 ネパールでの呼称の分布は3つにわかれるとしているが、インド北西部(ビハール州・ウッタルブラデシュ州)とネパールのタライ平野に見られるramdanaが、神の穀物と称されるものにあたる。

 ramはヒンドゥー教の神のこと、danaは穀物の意であると、この論文では簡単にふれている。ここらはインドでの利用、栽培、神事での位置づけなどについて、他の論文をあたってみる必要がある。

 というわけで、今日はここまで。